気が付くと

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ

気が付くと

私は気が付くと牢屋の中にいた。 牢屋の中で目が覚めた私は、横を見た。 そして後ろも、私の横や後ろにはたくさんの犬が いた。その犬はみんな怯えていた。 「この犬達は何で怯えているんだろう?この牢屋は臭い。衛生的にも良くない何で私はここに?」 そんな事を考えていると牢屋の外には男の人が いた。そして私を見て言った。 「目が覚めたかい?小さい子犬ちゃん誰なんだろうね?捨てたのは?君は気絶していたからしばらくは動物病院の先生に診察してもらっていたんだ。 でも結局はここに連れて来られてしまった。 うちはアパートだから君を飼ってあげることが できないごめんな。本当にごめんな。 俺が飼ってあげる事ができればここに連れて 来られずにすんだのに。このまま飼い主が見つからなかったら君は……」 男の人はそう言って泣いていた。 私は 「ワンワン……」「ワンワン……」 必死に吠えた。 「あれ?私も犬?そうだ、私は前世の記憶が 少し残っている。あの日私は高校一年生だった。 弟は小学六年生だった。 そしてお父さんとお母さん弟と私で深夜お父さんの車に乗っていた。着いた場所は土手だった。 私の名前は確か……緑山緑だった。 弟の名前は弘だった。私達家族はとても仲のいい 家族だった。あの日の深夜は、どうしても家族で 土手に行かなければならなかった。四人で何をしていたんだろうか?そして私達は笑っている。 土手で私達家族は何かを確かにしていた。 その帰り私達は車の事故で死んだんだ。 そこまでしか前世の記憶がない。 両親の名前も思い出せない。」 「ワンワンワンワン……」 「うっせえな諦めろや俺達は勝手な人間に 殺されるんだよ。隣の部屋が俺達の死に場所さ」 「えっ?死に場所?」 「ワンワン……ワンワン……」「ワンワン……」 私は必死に吠えた。 「ほら今度は、僕が呼ばれたよ。明日あたり 君じゃないかな?じゃあな俺呼ばれたから行くよ。 俺はこんなに年寄りだ。だから貰い手なんていないのさ」 私の隣にいた大きな犬が隣の部屋に連れて行かれた。苦しんでいるような声がしてきた。 それからあの大きな犬は戻って来なかった。 私は泣いた。 「ワンワン……ワンワン……」そう涙を流して泣くしかなかった……。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!