3人が本棚に入れています
本棚に追加
そして現在、午前二時。
恐ろしいことに、まったく眠気が来ない。
「くそっ、俺の体はどうしちまったっていうんだ!!」
暗やみの中、必死で体をよじる。
目を固く閉じ、羊を全力で数えても、眠気が俺のもとへ来る気配すら感じられない。
それどころか、どんどん眼がさえていく。
同時に胸の中に広がる不安感。
俺はこのまま明日を迎えていいものなのか。
準備不足。
瞼の裏に赤文字で浮かぶ四字熟語。
俺は思わず飛び起きた。
「準備……不足だと?」
だが、思い当たるふしはあった。
恋人の実家へ行って結婚の許しを乞うたことなど、これまでの人生でただの一度もない。
恋人の父親という存在に会うことすら、今回が初めてだ。
おまけに決戦場となるのは向こうの家。
つまり、完全アウェイ。
初めての場所で、初めての相手に、初めての戦いを挑む。
こんな不利な条件での戦いあるだろうか。
それなのに俺は何の準備もせずに明日を迎えようとしている。
そりゃあ、不安にもなるわけだ。
眠れないのにも納得がいった。
戦いの半分以上は準備で決まる。
このままでは、明日の俺は無残な屍をさらすことだい決定というわけだ。
最初のコメントを投稿しよう!