いめとれ

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 そして現在、午前二時。  恐ろしいことに、まったく眠気が来ない。 「くそっ、俺の体はどうしちまったっていうんだ!!」  暗やみの中、必死で体をよじる。  目を固く閉じ、羊を全力で数えても、眠気が俺のもとへ来る気配すら感じられない。  それどころか、どんどん眼がさえていく。  同時に胸の中に広がる不安感。  俺はこのまま明日を迎えていいものなのか。  準備不足。  瞼の裏に赤文字で浮かぶ四字熟語。  俺は思わず飛び起きた。 「準備……不足だと?」  だが、思い当たるふしはあった。  恋人の実家へ行って結婚の許しを乞うたことなど、これまでの人生でただの一度もない。  恋人の父親という存在に会うことすら、今回が初めてだ。  おまけに決戦場(リング)となるのは向こうの家。  つまり、完全アウェイ。  初めての場所で、初めての相手に、初めての戦いを挑む。  こんな不利な条件での戦いあるだろうか。  それなのに俺は何の準備もせずに明日を迎えようとしている。  そりゃあ、不安にもなるわけだ。  眠れないのにも納得がいった。  戦いの半分以上は準備で決まる。  このままでは、明日の俺は無残な屍をさらすことだい決定というわけだ。
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