にぶんのいち夫婦特別編 樋口編原作

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「もうすっかり片付いたのね」 「まあ出発は来週だし」 「留学なんて、いきなりでビックリしたわ」 「資金が貯まったら行くって、高校の時から決めていたけどね」 そのためにコールセンターや夜の街でバイトした。 目標の金額に届いたのはついこの間のことだけど。 「相談して欲しかったって…言う方が傲慢なのかもね。私もあの人も仕事仕事であなたのことは放っておいたから」 「別に自分のことは自分でやるよ」 母が歩み寄ろうとしていることは分かっている。 それでも。 すっかりひねくれてしまった心は、向き合う事を反射的に拒絶してしまう。 それは子供染みた反抗心だと、自覚はしてはいるけれど。
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