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「こんなとこで寝ちゃうなんて珍しいね。最近疲れているみたいだけど大丈夫?」
心配そうに眉をハの字にした文さんを、椅子にもたれたままぼんやり見上げた。
肩の上で揺れる少し伸びた髪が、過ぎた時間の存在を知らせてくる。
きっと、あの3ヶ月前のキスは彼女には終わった過去の話だ。
「目覚ましにコーヒー買ってきます。先に戻っていてください」
笑顔を浮かべ体を起こしてそう答えて、
「13:00から特選商品のテレビ放送入るから。早めにね」
立ち去っていく彼女がドアの向こうに消えたのを見届けてから大きくため息をついた。
もうすぐ彼女と会えなくなる。
どうしたって手が届かない事を自覚できたら。
俺はこのうずくような胸の痛みを忘れ去ることが出来るんだろうか?
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