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「あんたの名前を教えてくれよ、魔王」
魔王はまっすぐにジルコフを見据えた。ジルコフはその赤い瞳にもひるまず、見つめ返した。
「私の名は魔王ゼクストイ。唯一無二の、人類の敵です」
「ゼクストイ」
ジルコフはゼクストイの冷たい手をぎゅっと握った。力強く、爪が食い込むくらいに。
「俺はいつかあんたを殺したい。できると思うか、ゼクストイ」
「やってごらんなさい、我が愛し子ジルコフ。約束された永遠に従うも逆らうも、あなたの自由です」
「ああ」
ゼクストイがジルコフの手の甲にキスをすると、闇夜より暗い影が二人を包み込んで、音もなく姿を消した。
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