教えて欲しい

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教えて欲しい

「美味しくなくても良いです、もう気になって気になってしょうがないんですよ! リュックサックの底に玄関の鍵があるっていうのに手探りしても見つからないみたいな感じのもどかしさと不安でいっぱいなんですよ!」 「あー分かる分かる。あれ、どっかで鍵落っことしたんじゃないかって、焦るよなー。そしたらそのリュックからいつ買ったか分かんないうまい棒とか出てきて、こんなもんいつ買ったっけ? って不安になるよなー」 「そんな不安は特に感じたことはありませんが」 「え? マジか。俺はすっげえ気になるタイプ。しかもいつも買う定番のコーンポタージュ味じゃなくてテリヤキバーガー味とかいう変わり種だった場合はますます気になっちゃうね」 「それは僕も気になりますけど。美味しそうですよね、テリヤキバーガー味。って、どうでも良いんですよそんなこと! 例え話で話題を膨らまさないでくださいよ。僕が聞きたいのは犯人の名前ですってば!」 「それ聞くのー? っていうかさあ、捜査中、俺たちずっと一緒にいたよね。っていうことは、君も俺と同じヒントはもう現場から得ているはずだよね? それで分かんない?」  大沼の丸っこい瞳で問われると、霧能はぐうの音も出なくなってしまった。  それが分かるなら自分で探偵をしている。こんなムカつく口調のマッチ棒の下について十年も下働きしてはいない。 「しょうがないなー。じゃあ一つだけヒント。凶器がなくなっていた理由とは何か。犯人にはそうするしかなかったんだよ。そして、その凶器の行方こそが犯人を特定する重要な鍵になるんだ……あああああ〜、もうこれ以上言えないっ! これ以上言ったらもう面白くないしっ!」 「あああ、クソ! 何なんだよこいつ、リアクションがクソうぜえよ!」  ソファーで足をバタバタさせている大沼探偵に、霧能は本気で殺意を抱いた。
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