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いいから話せ
「あああ〜もう言っちゃおうかな? どうしよ〜? ねえ、どう思う〜霧能っち」
「うっせーな。憧れの先輩に告白しようと悩んでいる女子高生か!」
「いや、違うね。憧れの先輩だったらもうちょっとモジモジして引っ込み思案っぽく言うね、俺だったら。このくらいのノリだったら同級生でちょっと良い感じの。そうね、成功確率は80%くらいの隣の席の男子だね。消しゴムの貸し借りで仲良くなって、今じゃ冗談を言い合うくらいの」
「どうでもいいわ! 何でお前の女子高生の言い方で架空の恋の相手を推理しなきゃなんないの? 架空じゃなくてリアルな殺人事件の犯人を推理させろよバカ!」
「ひっどーい! さっきまでの敬語はどこにいっちゃったの? キャラ変しすぎー」
「お前こそ女子高生キャラから抜けてねえじゃねえかよクソが!」
応接間に探偵たちの険悪なムードが漂った。
「な? ほら、犯人の名前だけ言おうとしても、戦争起きるだけだろ?」
「戦争が起きたのは犯人の名前じゃないことばっかり大沼さんがしゃべるからですよ」
「これ以上俺に何をしゃべらせようって言うの?」
「戯言だったらこれ以上聞きたくないんですけどね」
霧能は無駄話だけで息が上がってしまう自分に嫌気がさした。
すると探偵は真面目な顔つきになって言った。
「でもさあ、正直、犯人なんて知らない方が身のためだと思うんだよね」
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