エンドロール

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 こうして、名探偵大沼計の最後の事件は唐突に幕を閉じた。  犯人は結局分からぬまま、密室トリックもアリバイ工作も見破れぬまま、事件は迷宮入りになってしまった。  霧能はその後、大沼の遺言通り、ガスの元栓を確かめに彼の家に向かった。  元栓はしっかり閉まっていた。 「大丈夫でしたよ、大沼さん。あなたの近所でガス爆発は起きませんでしたよ……」  家の外に出て、光る青空を見上げ、霧能は頬に垂れてきた雫を拭き取った。 「おっかしいなあ。雨なんか、降ってないのに……」  青空に浮かぶ白い雲がマッチ棒のような形になり、誰かがそこで笑っているような気がした。 「最後に、犯人の名前知りたかったなあ……」  悲しい光を遮るためにサングラスをかけ、霧能は一人で歩き出す。  どこかにあるテリヤキバーガー味のうまい棒を求めて。  
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