アタシはあんな奴のこと、好きじゃないから!

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アタシはあんな奴のこと、好きじゃないから!

アタシはあんな奴好きじゃない。 好きじゃないけど……ちょっと気になるのよね。 ぼんやり考えながら アタシはピンクの箱にチョコを詰め、可愛い包装紙で包む。 「できた」 アタシは呟く。 味見をしたけど、最高の味だ。これならアイツを…… 「あーもう! だからあんな奴好きじゃないって!」 アタシは一人で叫ぶ。 アイツのことが頭に過ぎるだけで、胸は高鳴り、頭が真っ白になる。 だから必要以上に考えたくない。 アタシは用件を書いたメールをアイツに送りつける。 バレンタイン当日、アタシはチョコを持ち、アイツを待っていた。 「おーい」 アイツは元気良く走ってきた。 アタシの鼓動は早打ちし、身体中が熱くなるのを感じた。 「待った?」 息を切らして、アタシに聞いてきた。 アタシは黙って首を横に振る。 「ま……待ってなんかないわ」 アタシは言った。 「それで、渡したいものって何?」 頭がくらくらした。単刀直入で切り出してきたよ。 ど、どうしよう。 頭の中がパニくってきた。 心臓の音がうるさく感じる。 アタシは深呼吸をして、自分を落ち着かせた。 「どうしたんだ?」 声をかけてきた。 喋らないアタシのことを心配しているんだ。 アタシは生唾を飲み込み、声を出す。 「これ」 アタシは箱を見せる。 「あげるわ、今日バレンタインだしね」 すると、一目で分かるように、みるみる笑顔になった。 きた。女子をイチコロにする爽やかスマイル。 「手作り?」 「そうだけど、勘違いしないでね! あくまで義理だから!」 「はいはい、分かってるよ有難う」 早口で説明すると、チョコを受け取り礼を言った。 こうしてアタシのバレンタインは無事に終わった。 メールで 「チョコ美味しかった」 なんて来た時には倒れそうだったわ。 アイツったら! アタシは 「どういたしまして、来年はうんとほろ苦いチョコをあげるからね!」 と返信した。 これでいい。 だって、アタシはあんな奴のこと、好きじゃないんだからね!
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