フェアリスターズ

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「今日はありがとう! 最高に楽しい時間を過ごせたよ。ツアーも明日で最終日。最後まで全力で演奏するので、みんな応援よろしくぅ!」  ボーカルのリコから締めの挨拶があると、一筋の光が満天の星空にヒュルヒュルと伸びていった。  やがて爆音とともに華やかな花火が広がり、スタジアムを埋め尽くす観衆を明るく照らした。  花火はふたつの大きな羽根模様を描き、チラチラと光が舞う光景は妖精が幸福の魔法を振り撒いているかのようであった。  盛大な歓声が沸き上がると、リコの元にグループメンバー四人が集まり大きく手を振った。 「ウィアー(私達は)フェアリスターズ、ヒアウィゴー(さあ行こう)!」  レーザー照明がスタジアムを飛び交う中、メンバーは駆け足でステージを降りていった。 「お疲れ様ー! 最高のステージだったわよ」  控室に戻ると、マネージャーのモカから賞賛の声がかけられた。 「ありがとうございます。これもみんなとの強い絆があるからこそだけど」  リコがちらりと目をやると、メンバー達がニコリと微笑んだ。 「ここまで来るのに、ものすごい努力をしてきたからね。明日はライブツアー最終日、頑張ってちょうだい」 「ハイ!」とメンバーが元気よく返事したところでモカは眼鏡を外し、一転して真剣な表情に変わった。 「ただしひとつ厄介な事が起きているの……。明日のライブでは、あなた達の演奏をぜひ聴きたいと女王陛下がご観覧に来られる予定。そこを狙ってテロリストが襲撃を(くわだて)ているという情報が舞い込んできたわ……」
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