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――この者をあわれみたまえ。ことごとく罪のほだしより解いてください――
リコは一人歌い出した。
「レクイエムか? 悪いが最後まで聴いてやる時間はない。一突きで終わらせてやる」
ネオは腕を大きく上げると、リコの顔めがけて振り下ろそうとした。
その瞬間、リコは口を大きく開き「ゴッド!」と叫んだ。その声の振動は空間を歪ませながらネオの顔面に直撃すると、髪は逆立ち人工皮膚が破裂した。
ネオはそのまま気を失い、ズウンと後ろに倒れ込んだ。
リコは一人起き上がると、ちぎれた左腕に庇いながら呟いた。
「サイボーグと言えども脳だけは生身。脳波攪乱超音波を人工声帯に組み込んでおいたの。レクイエムはその解除コード。ただし近距離でないと効果が出ない、その隙を見計らっていた。昔の自分とは違うと言ったはずよ」
「……リコさん、今どこに?」ユヅから連絡が入った。
「ネオを捕まえたわ、これからそちらに戻る」
リコが腕時計に目をやると、ストップウォッチの数字がちょうど残り時間零秒を示していた。
やがて鎮圧部隊が合流し、上空からヘリコプターがサーチライトで倉庫を照らす中、テロリスト全員が捕縛された……
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