フェアリスターズ

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 第三次大戦で敗戦したジャポニア帝国では大量の難民が発生した。リコは親を失くした戦争孤児達と共に、永久中立国ウミリア王国へと移民。  孤児らは特殊訓練を受け、選ばれた五人で構成する第一種特殊任務部隊『フェアリモンスターズ』が編成された。  普段はアイドルグループを隠れ(みの)にして活動しているが、緊急事態発生時には第一線で戦う戦闘集団である。  それぞれ髪で隠れたうなじに黒い羽根を生やした魔獣の刺青が刻まれていた。  満月が輝く闇夜に一機のステルス輸送機が飛ぶ。 「目標到達まであと三十秒」 「みんな準備はいいかしら? 作戦遂行時間は三十分、一人残らず殲滅すること。その後、鎮圧部隊と合流」 「イエス、マアム!」  全員が腕時計のストップウォッチをスタートさせた。  輸送機の後部ハッチがゆっくり開くと、海沿いの街明かりが灯る夜景が望めた。 「三、二、一、空挺降下」  モカ大尉の合図とともに、五機のスカイバイクがジェットエンジンを逆噴射しながら、次々と飛び立っていった。  トコは一人編隊から離脱し、倉庫の向かいにある雑居ビルへと向かった。  倉庫街の一角にある今は使われていない古びた煉瓦倉庫。 「見張り交代の時間だ。異常はないか?」小銃を肩にかけた傭兵の一人が問いかけた。 「ああ、異常なし。平和なもんだ」 「明日にはこの静かな夜も終わることを、ここの連中は誰も知らない……」 「この国を戦乱に巻き込むことで復讐を果たすことができる。それに国籍も持てない俺達にとっては仕事場がひとつ増えるわけだし、一石二鳥」 「ふん、この国の富と平和が何から出来上がっているものなのか、わかるときが来る」  傭兵が思いふけるように夜空を見上げた。 「俺達にとって安住の地は戦場の中にしかない……ん、あれは何だ」  上空にチラチラと光るものを発見した。赤外線スコープの照準をその光に向けた。 「何かが降下してくる……! 敵襲だ」
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