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魔法鉄道は、草原地帯をいく。
「ミリアム姫は魔法鉄道の何を探っているの?」
「君こそ何を探っているんだい?」
え?
あたしは、ミモザ·リュージュ。
単なる旅行者だ。
「あたしはただの旅行者よ」とあたし。
「なら、こちらもそういうことだ。
魔法鉄道が怪しいとかではなく、単に魔法鉄道を見物に来ている。
森の国は魔法石の産地だから、顧客である魔法鉄道を見物に回るのは自然だ。
そう思わないかい」
「そうかも。
魔法鉄道を、襲う人なんて今どきいないと思うし」
「魔法鉄道を襲う、だって」
ミリアム姫は考え込む。
不味いことを言ったのかしら。
「まあ、いい。
ランチに招待しよう」
食堂車が連結されている。
「客人に鶏肉のコンフェを。
海老のバターソース和えで」
「かしこまりました」
ウェイターが厨房にむかう。
あたしとミリアムは魔法鉄道の食堂車にいた。
「美味しそうですね」
あたしはくすくすと微笑む。
ミリアムはコーヒーをボトルから注ぐとあたしに差し出した。
「砂糖入りのコーヒーだ」
「ありがとう。ミリアム」
「どう致しまして。ミモザ」
食堂車には身なりが華やかな人々が多い。上流階級なのだ。
あたしは、ミモザ·リュージュ。
カバンを手にもっている。旅行カバンはあたしがあたしでいる、貴重な道具のように思えた。
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