10.対策本部

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10.対策本部

 テレビが設置された対策本部では、年配が指揮を執っている。 「怪しい行動があったそうです。現地担当者がテストを中止すべきだと伝えると、無理やりマシンルームから追い出されたらしく」 「システムは、停められないのか?」 「遠隔操作ができないそうです。電力供給も断ちましたが、自家発電に切り替わりました」 「現地の誰かに対応させろ」 「噴火警報で所員は避難済みです。現地には容疑者しか残っておりません」 「関係者に誤報だと伝えろ」 「警報が多すぎて追いつきません」 「全部誤報だと伝えればいいだろうが」 「全て誤報扱いにすると、連動しているシステムの機能も失われてしまいます。本物の災害が発生した場合に、被害を防げないのは問題かと」  テレビ画面では、アナウンサーが頭を下げている。 「申し訳ありません。我々にも避難指示が出されました。間もなく、放送を終了させて頂きます。皆さん、ご自分の命を優先して行動してください。どうぞご無事で」  画面には録画放送が流れ始めたが、新たな緊急速報はひっきりなしに表示され続けた。 「あっ、緊急速報が出ました。テロです。緊急警報システムが乗っ取られたと表示されています。容疑者の氏名も公表されました。爆発物を所持しているそうです。事実上の犯行声明です」 「なるほど。新手のテロだな。特殊部隊のヘリを現地に飛ばせ!」
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