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7.各種警報
二人がテストを続けている部屋の照明が、一瞬暗くなった。
「おっ、停電か?」
「雷でも落ちたかな。システムは落ちてませんね」
「テストが出来るなら問題ない。続けるぞ。お前はなんかないのか。俺が叶えてやるよ」
「神様じゃないんですから」
「俺は今、神様みたいなもんだ。試しに言ってみろ」
「なら、花粉症が辛いので、杉林を減らしてみて下さいよ」
中年が端末に向かう。モニターに表示される文字を見て若者が驚く。
「ちょっと!日本中の山が噴火しちゃってるじゃないですか」
「どこの山に杉林があるかなんて、俺が知る訳ないだろ」
「雨を降らせて延焼を防いで下さい」
「雨のテストなら、さっき終わったじゃねぇか」
「あれ?外の廊下が騒がしくないですか?」
「ん?そうか?そんなことより、お前もやってみろよ。こんなの滅多に触れないぞ」
「良いんですか?」
「おう、良いぞ。やってみろ」
中年と若者は座っていた場所を交代する。
「では、テストを続けますね。次は津波です」
「あそこだな。ほら、大波をみんなが待ってるだろ」
中年が有名な場所の名を告げる。
「あっ、津波のメニューを選ぶと、沿岸の候補地一覧が表示されました。さすがに、波の出るプールは入ってませんね」
「ないのかよ。だったら平等に全部だ。候補地を全部選べ」
「一括選択ってボタンがあるので、押しますね」
「おう。到達時刻は三時間後な。それなら避難もできるだろう」
「平気です。波を小さくしときますんで」
結果を中年が確認している。
「おっ、津波が全国に押し寄せてる。随分デカいな」
「え?mなんですか?てっきり単位はcmかと」
「気にすんな、テストなんだから」
「罪悪感を感じます」
「それなら善いことをさせてやるよ。沖縄に雪を降らせろ。大雪な」
「沖縄にですか?」
「甥っ子が住んでてさ、雪をソリで滑ってみたいらしいんだ」
「じゃ、2mの積雪にしときますね」
「多過ぎだ」
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