7.各種警報

1/1
前へ
/12ページ
次へ

7.各種警報

 二人がテストを続けている部屋の照明が、一瞬暗くなった。 「おっ、停電か?」 「雷でも落ちたかな。システムは落ちてませんね」 「テストが出来るなら問題ない。続けるぞ。お前はなんかないのか。俺が叶えてやるよ」 「神様じゃないんですから」 「俺は今、神様みたいなもんだ。試しに言ってみろ」 「なら、花粉症が辛いので、杉林を減らしてみて下さいよ」  中年が端末に向かう。モニターに表示される文字を見て若者が驚く。 「ちょっと!日本中の山が噴火しちゃってるじゃないですか」 「どこの山に杉林があるかなんて、俺が知る訳ないだろ」 「雨を降らせて延焼を防いで下さい」 「雨のテストなら、さっき終わったじゃねぇか」 「あれ?外の廊下が騒がしくないですか?」 「ん?そうか?そんなことより、お前もやってみろよ。こんなの滅多に触れないぞ」 「良いんですか?」 「おう、良いぞ。やってみろ」  中年と若者は座っていた場所を交代する。 「では、テストを続けますね。次は津波です」 「あそこだな。ほら、大波をみんなが待ってるだろ」  中年が有名な場所の名を告げる。 「あっ、津波のメニューを選ぶと、沿岸の候補地一覧が表示されました。さすがに、波の出るプールは入ってませんね」 「ないのかよ。だったら平等に全部だ。候補地を全部選べ」 「一括選択ってボタンがあるので、押しますね」 「おう。到達時刻は三時間後な。それなら避難もできるだろう」 「平気です。波を小さくしときますんで」  結果を中年が確認している。 「おっ、津波が全国に押し寄せてる。随分デカいな」 「え?m(メートル)なんですか?てっきり単位はcm(センチ)かと」 「気にすんな、テストなんだから」 「罪悪感を感じます」 「それなら善いことをさせてやるよ。沖縄に雪を降らせろ。大雪な」 「沖縄にですか?」 「甥っ子が住んでてさ、雪をソリで滑ってみたいらしいんだ」 「じゃ、2m(メートル)の積雪にしときますね」 「多過ぎだ」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加