読書の秋~イベント前夜~

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 ここは世界一と称される図書館都市ラメディア。中心にある図書館は地上12階(エレベーター、エスカレーター、階段で移動可能)、地下5階で蔵書数3500万冊(ほぼ同数の電子書籍もあり)を誇り、総合的にレファレンスができる図書館司書に加え、より専門的なレファレンス対応するための専門司書が配属されている。施設としても大多数が認識している図書館の他にありとあらゆるより深い情報を扱うそれぞれの専門棟、電波塔のような外見で情報収集の緻密さと扱いのルールの厳しさから信頼と畏怖の念を込めて通称探偵塔と呼ばれる建物、情報発信を主とするオールデイ・ロング(ローカルからワールドまでを誇張じゃなくやってのける)がある。  訪れる人との交流にと周辺には体育館や公園、カフェなどが広く主要な施設を囲むように広がっているのだがただ一角だけ、角度によって色を変えるガラスのような物質で閉ざされている部分があった。繋がる道は高い壁で遮られ、警備も厳重。そこはありとあらゆる危険とされる書物が管理・研究されている棟。魔法書・呪いが宿っている本・禁術etcが収集され、それを管理する能力を要した者達だけが配属されるラメディア唯一の閉ざされた空間『ダークネス・ホライズン』  巷で読書の秋といわれる時期に3日間だけ解放される。はっきりしているのは実施の季節は秋ということだけ。そのタイミングは図書館都市を統べるラメディアの女王、セキラ・コットンレール(57)が選りすぐりの職員からもたらされる情報と進言を元に決定し、それぞれの勤務地で情報共有するためのオンライン朝会で一斉周知される。  「読書の秋が発令します。10月21日(金),22日(土),23日(日)の3日間……初の全日開催です」  ラメディアの怒涛のイベント準備が始まった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!