過去と現実

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だけど、この時の俺に彼女はいなかった。女友達はいても、セックスをする子はいなかった。 ひとりでアダルトな動画を見ながら処理をするより、普通に可愛い年上の女性と体を重ねられる方がマシなのではないかと思った。 握られたままのシャツ。一度落とした視線を再び彼女に向けると、もっと強くシャツが引っ張られる。 昨日会ったときよりも落ちているメイク。それでも可憐な顔立ちだと分かる彼女に『いいよ』と返事をしていた。 たぶん、この人は彼氏と別れた穴を埋めるために俺とセフレになりたいと思ったんだろう。だからといって、それを鬱陶しいとか煩わしいとか、年下の男子学生を利用すんなよ、とか。 案外ネガティブな感情は浮かんでこず。 自分の欲も満たせるのなら、一石二鳥なんじゃないかと。 昨晩会ったばかりの三山(みやま)奈都と俺はそういう関係に至ったのだった。
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