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────────……
──────……
「なーおーや」
「……」
大学の講義室で机に突っ伏していると、後ろから白石の声が届いた。無視して顔を上げずにいれば、白石は俺の右隣に座ってくる。
「今日飲み行かね?バイトある?」
「……ない」
「じゃあ行くよな?同じ学科の藤田って女子いるじゃん。藤田が凪央弥と飲みたいって言ってんだよ」
「あー……あのいっつも脚出してる女子な」
「そうそう。太ももムチムチでエロいよな。どう?一緒にそのムチムチ堪能しない?」
そういえば奈都の脚はほっそいな。
ムチムチとは程遠い奈都を思い浮かべていると、チャイムが鳴る。白石のせいで仮眠時間を奪われた。
白石はキャップを被ったまま、鞄の中からペンケースを取り出して「どうする?」とキラキラさせた目で見てくる。
「藤田にこの講義中に返事したいんだけど。凪央弥が行かねぇなら、俺1人で藤田と飲んじゃうぞ」
「行かねぇや」
「はあ?!」
講義開始直後、白石のどでかい声は教室全体に響き渡った。教壇に立っている女性の先生が厳しい目をこっちに向けている。まるで俺も一緒に注意を喰らった気分。
白石は脱いだキャップで顔を隠しながら「なんでだよ」とヒソヒソ話し始めた。
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