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「ムチムチ藤田と遊べるんだぞ?顔も可愛いだろが。バイトねぇのになんで行かねぇんだよ」
「用事ある」
「ムチムチ藤田より大事な用ってある?」
「あるだろ」
何言ってんだよバカが。その思いが溢れてしまったのか、白石は泣き出しそうな顔をした。
前方にあるスライドを頬杖をついて見つめる。それでも白石の赤茶色の髪が視界に入るほど、接近されている。
「なんか、凪央弥最近あんま俺と遊んでくんねぇよな……冷たい気がする」
「お前とは遊んでると思うけど」
「……あれだよ。女の子がいる場に来なくなったんだよ。なんで?彼女いねぇだろ?」
「いないよ」
「じゃあなんでムチムチ藤田と遊ばねぇの?」
「用事あるっつったよな」
話が堂々巡りだ。ムチムチムチムチさっきから五月蝿い。
今日は夜に奈都との予定がある。いくら相手がムチムチであろうと、先に約束した奈都との予定が優先されるのは当たり前。
最後に体を重ねてから2日後、奈都は本当に生理がきたため、1週間以上は会っていない。昨日の夜、奈都から連絡が来て、久しぶりに会うことになったのだ。
「凪央弥のバカ。あとでムチムチ藤田と遊びたかったって後悔しても慰めてやんねぇからな」
あの飲み会以来、俺と奈都がそういう関係になったことを白石には伝えていない。
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