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カラコンを入れている瞳は不自然な色と大きさ。似合ってねえよ、と言ったら、藤田はもう二度と俺を誘うことはないだろう。
「オッケ!次は凪央弥も行ける日ばっちり把握しとくから!」
白石が急に割り込んできた。本当に似合わないカラコンについて指摘しようと思っていた俺の肩に手を置いて笑顔で藤田を見据えている。
「うん。よろしくね、白石君」
「了解なり!」
グッと親指を立てる白石。何だこの謎のキャラは。
呆れるほど藤田に忖度する男の手を振り払い、俺はスタスタと歩き出す。すぐに追いかけて来た白石は「で?」とスマホを出しながら問いかけた。
「凪央弥、いつなら藤田と遊べそう?」
「分っかんね」
「おいおいおい。真剣に答えろ。あの藤田からの誘いなんだぞ」
「お前だけが遊べばいいだろ」
「だからさ、俺1人のために藤田が時間割いてくれると思う?イケメン谷開君がいるからこその誘いって分かんねぇ?」
「俺別にイケメンじゃねぇし」
「はあ?俺凪央弥のその高い鼻超好みなんだけど?」
「腹減ったな。早く飯食いたい」
「なーおーやーーーー!」
地団駄を踏む喧しい白石とは、大学入学の日に出会った。初めて会ったとき、もう少しコイツは静かだったのに。
月日が流れるにつれ、どんどん本性を表し始めた。最近は、女に飢えている、青春を謳歌しようと必死な男としか思っていない。
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