過去と現実

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そこまでして彼女が欲しいのだろうか。いたらいたで楽しい側面もあるとは思うけれど、面倒なことも鬱陶しいこともたくさんあるはずだ。 中学、高校、大学と彼女はいたものの、圧倒的に後者の方が勝っていたと思う。付き合い始めたその日に、この人とも数ヶ月後には別れているんだろうなと思うようになったのはいつからだろうか。 どうせ別れる。 そう思いながら付き合うことに慣れ始めたのはいつからだろうか。 「あれ、早かったね」 日も落ちてきた時間に奈都のアパートを訪ねると、部屋着ではなく、仕事用のオフィスカジュアルな格好をした奈都が出迎えた。 「はい。酒」 「あ、ありがとう」 コンビニで買ったそれを袋ごと奈都に渡す。 部屋の中に入れば、ソファにベージュのジャケットと鞄が置かれたままだった。 「ごめん。散らかってるから」 「や。全然大丈夫」 奈都は慌てた様子でそれらを片付ける。その後ろ姿を見ていると、奈都が不意に振り返るから視線が絡んだ。 「ご飯食べてきた?」 「まだ」 「お腹空いてるなら何か適当に作るけど」 「奈都、」 目の前を通り過ぎようとした奈都の手首を掴む。目を瞬かせて俺を見る奈都はカラコンなどしていない、自然な色の瞳をしている。 「シよ」 「い、いきなり……?」 「飲んでからヤる?」 「……や、あたしお腹空いてるから途中でお腹鳴るかもしれない」 「色気ないな」 「……」
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