過去と現実

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奈都はどうして俺を選んだのだろう。あの日の飲み会の男4人の中から敢えて俺を選択した理由は何だろう。 セックスが上手そうに見えたのか。一番2軒目のお店に誘いやすい男だと思ったのか。 1軒目で、俺は別に奈都とそんなにしゃべっていないのに、よっぽど軽い男に見えたのかもしれない。 「ッ……凪央、」 「またイったわけ?」 シーツに奈都の手を押し付けて握る。上から見下ろす彼女は頬を火照らせて、小刻みに腰を揺らす。 行為の激しさというのも、どこからが激しいの基準を満たすのかは謎。ただ、いつもより絶頂に達する回数が多い奈都は、多少の激しさを感じているかもしれない。 その度に、奈都の中の元カレとの出来事が、それで生じた不快な感情が消えているのなら、俺が身体を重ねる意味はあるんだろう。 「奈都、上乗って」 「……は、あ……」 そう言えば、去年付き合ってた年上の彼女に言われたことがある。 『凪央弥はエッチ上手いけど、なんかそれだけだよね』と訳の分からないことを。 それ以外に他に何がいるんだろうって。当たり前のように彼女に訊ねたら、呆れた笑みでこう言われた。 『愛情が感じられない。凪央弥ってセフレの方が向いてるんじゃないの?』 そう言った彼女は俺に何て返して欲しかったんだろう。愛情もあるよ、と言えば喜んだのだろうか。 『そうかもな』と単調に返してしまった俺は、その2日後に彼女から別れを告げられた。
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