約束と代償

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約束と代償

「あ、谷開君」 大学近くのコンビニのレジで並んでいると、ふと横から声をかけられた。スマホを弄っていた目を右へ向けると、先週誘いを断ったばかりの藤田がいる。 ヒートテックを着るかどうか迷うほど寒い朝だったのに、藤田は今日も脚を出していた。黒のスカートから出る脚を見るだけでこっちが寒くなる。 「あー。おはよ」 そう言ってすぐにスマホに目を戻すと、なぜか藤田は背伸びをしてズイっと人のスマホの画面を覗き込んできた。 は?と距離を作るも、「見ちゃダメだった?」と藤田は首を傾げる。外国人のような色素の薄いの瞳はカラコンのおかげ。上目で見つめてくる藤田は所謂あざとい女。 甘い香水の匂いは正直朝からキツい。 「別に。ただLINE返してただけだよ」 早くどっか行ってくんねぇかな。てか、早くレジ回ってきて。 「LINEって彼女と?」 「違う」 「じゃあ、女の子?」 「違うって」 「ふーん。そっかあ」 「……」 「ねえ、あたしにも谷開君のLINE教えて?」 なんとなく、その流れが来るのではないかと思っていた俺はスマホを躊躇なくポケットに突っ込んで「藤田とやり取りすることないから」ようやく順番が来たレジに品物を置いた。
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