約束と代償

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こうもセフレを持ち掛けられる俺は、やっぱりセフレに向いている人間なのか、なんて。 一生ちゃんとした恋人もできないまま定年を迎えそう、なんて。 「ごめん。間に合ってるから」 心の中で自嘲的な笑みを噛み殺しながら、藤田からの誘いを断る。 目を見張った藤田に、心が揺らぐことは一度たりともない。 「そういう相手が欲しいなら俺じゃなくてもいいだろ。白石でも当たれば?」 「……」 「あと、あんまりカラコン似合ってない」 そう言えば、中学の時。同じクラスの女子に思いきり脚を蹴られたことがあった。俺はその女子に思ったことをはっきり言って、案の定ガチ切れされた。 めちゃくちゃ痛かったのを覚えている。もしかしたら藤田も俺を蹴飛ばすんじゃないかと思ったけれど、藤田は何もしなかった。何も言ってこなかった。 「じゃあ」 涙も止まった藤田をその場に置いて大学へ向かう。 さすがに藤田はもう俺を誘ってこないだろう。むしろ嫌いになっただろう。こんな奴だったのかとガッカリもしただろう。 そっちの方が断然都合がいい。 「何かあった?」 今日は俺の部屋に奈都が来ていた。行為後、頭の後ろで手を組んで白い天井を見上げていると、奈都がうつ伏せの体勢でチラリとこっちを見る。 「なんで?」 「谷開君、今日会った時からボーっとしてる。シてるときは普通だったけど」 「勝手に人を観察するなよ」 「いつもと様子違うと見ちゃうでしょ?」
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