499人が本棚に入れています
本棚に追加
奈都はシーツの上に頬杖をつく。なんとなくその手を掴むと、頬杖は外れ、ボスンっと奈都は顔面からベッドに落ちる。
すぐに起き上がった奈都はベチン、と俺の腕を叩いた。
「もうっ、やめてよ」
「めっちゃ見てくるからだろ」
「谷開君ってあたしが年上だってこと忘れてるよね」
「俺より小さいし」
「たまには‘奈都さん’って呼んでほしいな」
「奈都」
「……生意気だなあ」
呆れたような溜め息。仰向けに寝転がった奈都は布団の中に入り込んで「何かあったの?」とやっぱり同じことを問う。
真っ直ぐに見つめてくる奈都の目が、さっきまで快楽の熱に冒されていたなんて信じられない。たまに行為中だけは、奈都がすごく大人に見えることがある。
「奈都おねーさんに話してみなよ?凪央君よ」
「なんかうざいよ。そのキャラ」
「男子大学生の悩み聞いてあげる」
「別に悩みなんかないよ。ただ告白されただけ」
「え?告白?」
ベッドから起き上がり、下着を穿いて冷蔵庫から水を取り出す。飲みながらベッドに戻っても、奈都は驚きを見せたままだ。
「ま、まさか、例の再会した元カノから?」
「なんでそうなんの。会ってもないから」
「えーじゃあ誰から告白されたの?友達?」
「友達ではないかな。ただの同じ学科の人」
「……付き合うの?」
「まさか。断った」
最初のコメントを投稿しよう!