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「付き合ってるわけでもないし、不安なんかないよ」
俺と奈都は恋人同士じゃないでしょ。ただ互いの需要と供給が一致してるから一緒にいるだけ。そこに不安が生じるということは、自分が本来、相手に求めていなかったものを求めてしまっている。
俺は恋人でもない奈都に多くを求めてなどいない。
「奈都とヤるの俺好きだよ」
「……食事中にそんな話しないでよ」
奈都は俺より年上のくせにこういう話をすると頬を赤らめる。素直な人。自分の中の恥ずかしさを消し去るためなのか、奈都やようやく自分の分の鍋をよそい始めた。
「谷開君は復縁ってアリだと思う?」
肉ばかりを取る奈都に笑ってしまいそうになる。野菜も食べろ、と顎で人参を示すも見事にシカトされた。
先程の俺の話をまだ引き摺っている様子。復縁という2文字で浮かぶのは、友人の浅倉と吉村カップルだけど、それを自分に置き換えるのはなんだかおかしくて。
ネギを咀嚼しながら「ナシ」と零した時、ちょっと笑ってしまった。
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