需要と供給

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「ナシなの?そんなはっきり?」 「別れた人ともう1回やり直すとか怖い。ダメになった経験が1回でもあるんなら、またそうなるかもしれないって思うよ」 もしこんなことを浅倉に言ったら何て言われるだろう。臆病者とか情けないとか、ダサいとか、俺には分かんねーとか悪態をつかれるかもしれない。 俺と浅倉は昔から考え方も性格も違うし、否定されて当然かもしれない。 「……そうだよね。確かに怖いなあ」 皿から溢れるほどの肉を乗せた奈都は相槌を打つ。日頃からたくさん食べる割に、太りにくい体質の奈都は脂肪として身に付かないらしい。行為中も見て思う、腰ほっそいって。折れそうって。 「でも、」 奈都は大好きな肉を前にして、ふと寂寥染みた表情を浮かべた。 「あたしは、より戻したいって思うかな」 「……ふーん」 出会った当初、奈都は結婚を前提に付き合っていた彼氏にフラれたばかりだった。俺とは真逆の年上の彼氏だったらしい。別れを告げられた奈都は、今でもその男のことを想っている。
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