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『スマホ』
ーーー 私は今、遠く離れたアメリカにいる。
突然の転勤を言い渡されたのにも驚いたが、その場所が海外と聞いた途端思わず「はっ?」と声がでてしまった。
なぜなら私には婚約者がいたから。
確かに会社で公にはしていないし、多少婚期を逃した感のある歳だけど。
なにもこんなご時世に海外転勤ってないと思うぞ。
会社からの言い分としては、こんなご時世だからこそ家族同伴よりも独身者の方が身動きがしやすいということもあるらしい。
更に、既婚者の他の面々と比べても能力的に劣らない、と言われたら断るはずがなかろうよ!!
多少なりともうまく乗せられた感はあるけれどーー。
ーーーー
ニューヨークに来て数ヶ月が経った。
現地の同僚とも親しくなれたがそこはやはり実力主義があつまるニューヨーク。少しでも油断したら足下を掬われかねない。
だからこそみんな余暇時間があるときに習い事にいったり、体力つけるためにジムに行ったり、逆に家族とゆったりとした時間が必要になるんだろう。
テレビとかで見ると、みんな公園や街中でかなり自由に時間を過ごしているんだと思っていたけど、実際には違うんだな。
試行錯誤を繰り返し少しずつこちらの生活にも仕事にも慣れた頃。
人生上最大の汚点になるだろうミスをした。
彼からの電話にも出られず、かけることも出来ずほぼ不眠不休で修復に費やした。
何度も日本に帰ってしまおうかと思った。
ーーーでも、
たった1本の電話が、私を救った。
≪完≫
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画像の部分だけの詩から超短編ストーリーを書きました。
あなたにとって「たった一本の電話」の相手、「たった一言」なんですか?
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