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『雨傘』
秋の気配を感じた街中。
しとしとと降りだした雨は、気温を下げながら結構な降りになってきた。
道行く人たちは、足早に目的地へと歩を進める。
その波に逆らうように一人。
色とりどりの傘の花畑の一部になりそこねた悲しい花に。
しばらくすると雨も止み、まだまだ秋には早いぞと太陽が顔を出し始めた。
雨で寒々見えていた街も急に活気づく。
「あっ!!虹だーー!!」
どこかの子供の声に今まで周りには関心がなかったかのように黙々と歩いていた人達も数人が立ち止まり顔をあげる。
虹には、みんなを明るくさせる魔法があるみたいだ。
だから・・・
あと、もう少しだけ・・・
この傘をさしたままでも良いですか?
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