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エドワード王子の憂鬱
ーー 外では季節が駆け足をするかのように木枯らしが木々を揺らし、枯れ葉を舞踊らさせる。だが、柔らかい陽が降り注いでくるここはオレ様の特等席だ。その姿を見る下々の者達は、目をハートにしながらオレ様を見つめていくのが好きだ。
「エドワード。またここにいたのね。外寒そう!!!お留守番よろしくね」
窓の外をちらっと見て、そう話しかけてきた彼女は・・オレ様にメロメロだ。
朝からおめかしをした彼女はそう言ってオレを置いて出かけてしまった。
寒そうなら・・オレ様と一緒にゴロゴロしていても良いのにな。
そう・・思うだろ(きらっ)
何もデートというやつに寒い中でかけていかなくとも良いではないか?!
しかし、地獄のような外の寒さを見ながら暖かいここでまったりをしている。そんな時間もなかなか乙なモノだな・・・・・・・。
「ただいま〜〜エドワード!ごめんね〜遅くなっちゃった。
…‥・あ、あれ??どこ行っちゃったんだろ?
やっぱり日が陰ると家の中の空気も冷たくなっちゃうね〜。」
少しずつ足音が近づいてとうとう・・オレ様の身ぐるみをはがされた。
さっ、さぶい。
「良かった〜。ここにいたのね。
あなたが小さい頃から一緒にいたから離したくないのはわかるけど・・もうそろそろこのキルト捨てても良いかな??
あっちにもっとあったかい毛布買ってあるし。
ね?エドワード〜〜〜」
そ、そんな可愛くお願いされても・・・オレ様にとってこのキルトはオレ様の誇り!そう簡単に手放せるものではないっ!
オレ様の言葉が彼女に届かないのが何とももどかしい。
ーーー オレ様の名前はエドワード。
これでも王子として生まれ、名戦士として名を残しあともう少しで国をあげての大手柄をあげる寸前で・・息途絶えた。
オ、オレ様の勇者としての功績が・・・
次に目を覚ました時が数年前。
その時心配そうにオレ様を見つめている彼女の瞳は、何にも替えられないほどの美しさだった。
彼女の包み込むような手のひらからのぬくもり。
そっと抱きしめる胸の柔らかさと暖かさ。
オレ様の后には彼女しかおらん。
この気持ちを・・この気持ちを彼女に伝えねば・・・・
『みゃ』
驚き目を開いたかと思えば、その次の瞬間には輝かしい瞳を更に輝かせパッと顔に花を咲かせた彼女。
あぁ〜美しき♡
ただ・・・何の間違いなのか?
オレ様は、数百年後の日本という国に猫として生まれ変わってしまったのだ。
(=´∇`=)にゃん
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