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「これなんか、どうかな……」
真思が見ているのは波佐見焼だった。
発色が綺麗な無地のシリーズ。和食器にも洋食器にも見える。スタッキングできるサイズバリエーションから用途にあわせ選べるようだ。
「その、ちょっと早いけど誕生日プレゼントに……」
真思の言葉に田所は驚いた顔をしたが、すぐに「やった!」と笑った。そして「じゃあお礼に俺が真思に色違いを選ぶね。あ、サイズも一回り小さいほうがいい?」と嬉々として自分も買おうとしている。
「いやいや、それ意味わからないから!」
真思は焦って止めようとしたが、田所はもう商品を手にして歩きだしていた。慌てて真思も後を追う。
そして真思が選んだ深い碧色の器と、田所が選んだ淡い乳白色の器をお互いに支払って手渡す、という謎の交換会が行われた。
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