アツシとマコト

買い物デート

　すっかり上機嫌な田所は、まだ腑に落ちない顔の真思を「せっかく来たんだから真思の行きたい店も行こうよ。それとも昼飯にする？」と誘った。
でも来る途中で朝食を食べたのでまだお腹は空いていない。真思はここに来たときは必ず立ち寄る大型書店へ行きたいと答えた。
「すごく時間かかっちゃうかも」
申し訳なさそうに断る真思に「自分も読みたい本あるから。済んだら連絡入れて！」と田所はさっさと離れていく。
気を遣ってくれているなと思ったが、せっかくだから甘えさせてもらおうと真思も目当ての本を探し始めた。

　本を抱え慌てた様子の真思が戻ったのは一時間後だった。田所は書店の入口が見えるベンチにいた。真思が近づくと立ち上がって「いいのあった？」と聞いてくれる。
「う、うん。ごめんね待たせちゃって」
「大丈夫、それよりさすがに腹へったな。自炊は明日から頑張ることにして、何か食べに行こう」
立ちあがった田所の隣で、急に空腹を覚えた真思もうんうんと頷く。