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使い魔思いの主人 中編 作者:ますあか
ハヤテは於兎がどのような人物なのか観察をすることにした。以前相棒のハヤブサ「ナルカミ」の目から様子を探ったのだが、於兎はナルカミに気づいて隠れてしまった。
ハヤテは足音を忍ばせ、自らの気配を消し、於兎を探した。
すると、人の気配がひとつ見つかった。気配のほうへ向かうと、若い娘が誰かに向かって話したてているようだった。
話立てていたのは於兎だった。そして於兎の周りにはリスやツバメ、ウサギと様々な小動物が集まっていた。
どうやら、於兎は動物たちと会話をしているようだ。ハヤテは気配を消しながら、そっと聞き耳を立てる。
於兎「うん、今日描いた絵の新作がすっごくうまく描けたの! 後で、よかったら見てみて!」
於兎は周囲の動物を見渡してこう言った。
於兎「あっ、君はこの前山菜のお裾分けしてくれたリスだね! この前はありがとう。食べてみたけど、とってもおいしかった」
リス「ククククッ……」
リスは嬉しそうにその場で飛び跳ねる。それにしても、リスはあんな鳴き方をするのか。次に於兎はウサギへぐいっと顔を寄せて、こう尋ねた。
於兎「ウサギ。君もしかして、この前話していたウサギに告白してどうだったの? えええええっっっ!!!!! 振られちゃったの!! そうか、……振られちゃったか。じゃあ、今日はいくらでも愚痴聞いてあげるね」
ウサギ「ブウ~ッ、ブッ」
於兎「ウサギ、ごめん! 傷口をえぐってごめん。ああ、泣かないで~」
どうやら雄のウサギは泣いているらしい。俺にはただウサギの鳴き声が響いて聞こえるだけなのだが……。
結の言うとおり、於兎はこんなにおしゃべりな娘なのか。
はっきり言って、相手に話しをする隙をあたえない。これは世間で言うマシンガントークといった話し方か?
……確かに忍に向いていない。
結が困ったような顔をしていたのは、こういうことか。
まあ俺が甲賀の忍にあれこれ言う訳にはいくまい。
子ウサギ「キュウキュウ」
於兎「子ウサギ、何? えっ?! 元気がないみたいけど、どうしたのって?」
於兎「うううん、悩み事かなあ? 最近、伊賀者のハヤブサが怖くってさ。ハヤブサは悪くないんだけど、兎の本能が怖いって、いってましてね…」
まさかこの話題が聞けるとは思っていなかった。そうか、兎の本能が怖いと言っているのか。
俺は、はてと不思議に思う。
於兎は人ではないだろうか。本能が兎とはどういう意味だ?
確かに兎の耳がついているが、変化の術を使っているのだと思っていた。
於兎って、一体何者なんだ?
俺は新たな疑問を見つけ、困惑していた。
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