ある刀鍛冶のおはなし

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「うわああああああ!!!!」 悲鳴と共に飛び起きる。 夢、だった。 あの日から毎晩見る夢。 自らの肉が焼ける匂いとともに、忘れる事のできない光景。 それは夢では無かった。 私は調査隊、唯一の生き残りとなった。 左足一本の犠牲と、左半身の火傷で引きつった皮膚を引き換えに。 以来、町中の工房からは退き、郊外に庵を構えた。 枕元の灯りを取る。 あれから暗闇では眠れなくなった。 じっと両の手をみつめる。 手と腕が無事で良かった。 これでまだ、鍛冶を打てる。 ふらふらと立ち上がると、私は高炉に火を点けに行く。 奴等を屠る業物を創り上げる為に
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