1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほう、先遣調査隊の…生き残り、ねえ…あなたが?」
兵士長だというやけに背の高い、鼻の大きな男は私の姿を一瞥すると、値踏みする様に手渡した長剣の鞘を眺めた。
勇者様に使って頂きたく、献上いたしました
お納めください
私は頭を下げる。
「勇者共は自分の得物をお持ちだ。これは誰か手練の者に持たせよう。約束するから行って良いぞ」
はは、と再び私は頭を下げた。
刀身を見てもくれない事に、腹がたった。
だが、私に出来る事はここまでだ。
詰め所を出ると、王城広場で出兵を今か今かと待ち望む群衆に紛れた。
最初のコメントを投稿しよう!