ある刀鍛冶のおはなし

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初めて見る、鳥のような獣に跨った四人の若者達。 こんなに若い一行とは知らなかった。 一人は赤い鎧を身に纏った逞しい体躯の男 背に身丈を超える柄の伸びた大斧を括っている。 気難しそうに眉をしかめつつも、群衆に手を振った。 続いて修道士だろうか たおやかな僧衣に薄絹のヴェール こんな儚げな女性が戦士で有ることに、私は驚きを隠せない。 腰のモーニングスターフレイルがしゃらしゃら、と鎖に揺れている。 歓声が止んでいたのだ 次に進み出た人物…男か?の雰囲気に群衆たちは声を失っていた様だ。 黒いローブに全身を包み、両手で装丁の厚い本を開いている。 騎馬の手綱を握ることなく器用に頁をたぐりつつ、ローブの奥で金色の目を光らせている様に見える。 以前、武器の製造を依頼してきた暗殺者がこんな雰囲気であった事を思い出す。 群衆など目に入っていない様だ。 一団の風変わりさに戸惑っている暇もなく 広場が再び大歓声で満たされた。 勇者本人が現れたのだ。
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