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「王国にて兵士長を任命された者にございます。先の出征にて貴方様の剣を預かりました」
あのとき見た、まだ頬も紅い少年。
面影を残しつつも精悍な顔つきで続ける。
「魔物達との戦いで、他の兵の刃が効かぬ中、貴殿の業物は刃こぼれすること無くそれらを両断したのです。貴方様の力をお貸し願いたい。新たな脅威を告げる、再びの予言が…」
私などが用を為さない世の方が良いのだろう。
平和とはそういうものだ。
だが
私は成すべき事を成すだろう。
光栄だよろこんで引受けさせてくれ、の言葉を飲み込む。
目の前の期待に満ちて返答を待つ若者にしてやれるのは、もっと職人らしい言葉だ。
「うむ。心得た」
私は出来るだけ重厚に頷くのだった。
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