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第一章『ルーティーン問題』
細木リナ。
高校二年生。
空手部所属。
明日は大事な大会。
全国大会に出場する選手を決めるための大切な県大会。
日頃の練習で準備は万端。
自分で言うのもなんだが、実力からいっても優勝候補筆頭に挙げられている。
小さい頃から空手はやっているが、いつになっても大会前日というのは緊張するものだ。
その緊張をほぐす意味でも自分なりのルーティーンというものが出来上がってきていた。
年を重ねる度に追加されていったものだが、今ではこの5つにまとまった。
・ナオのいたずらには参加しない
・マサの言葉には全て肯定で返す
・レナと二人で帰る
・四川でカルボナーラを食べる
・トモと「おやすみ」TEL
俺達メンバーも理解してくれていて毎回ルーティーンに協力してくれている。
今日も4つ目までは無事に終了した。
ナオは相変わらずのいたずらを先生に仕掛けていて、かなり羨ましかったが大会が終わるまでは我慢。
早速明後日からは参加させてもらわなくては。
毎回のことながらマサには申し訳ないと思っている。
全て肯定で返す、要は否定できない為、出来る限り前日だけは話さないようにしている。
なぜならここぞとばかりに「宿題見せてくれよ」とか「弁当のおかずくれよ」等と言ってくるから。
まぁ、無視しているので問題はないが。
レナと二人っきりで帰ることは意外と少ないので、普段話せないようなことなどを沢山お喋りして、楽しい時間を過ごせている。
そして、一度帰宅してからタカのお店へ。
一人で行っておじさん(タカの父:明彦)の絶品カルボナーラで鋭気を養う。
そこまでは今日も完璧だったのに。
ラストのルーティーン。
夜になってトモに電話しようとしたら何故か携帯の調子がおかしくなり使えない。
仕方ないので家電から掛けようとしたが、こういう時に限ってお母さん:ふみの長電話。
そういえばお母さんも携帯の調子が悪いって言ってたっけ。
いつ終わることやら。
お父さんは飲みに出掛けていて、お兄ちゃんもまだ帰ってきていない。
ルーティーン通りいかなくても負けるとは思わないが、なんか気持ち悪い。
これだと気持ちの面で相手に劣ってしまうかもしれない。
勝負事だから何が起こるか分からない。
その為にもできる準備は完璧にしておきたいのだが。
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