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第二章『ルーティーン突破』
そんな感じでリナが途方にくれていると
「~ナ~」
ん?
「リナ~」
誰か私のこと呼んでる?
しかも外から。
リナの部屋は2階で道路に面している。
窓を開けて外を見ると
「よぉ、リナ」
「やっほぉ」
そこにはナオとトモが。
「何かあった?」
リナが「二人揃ってどしたの?」と聞くよりも先にトモからの疑問が。
ルーティーンの一つでもある電話が掛かってこないことを不審に思い駆け付けてくれたようだ。
確かにいつも電話している時間はだいたい決まっていて、それよりも一時間以上遅い。
とはいえ、こんな時間に心配して駆け付けてくれるとは。
なんて優しい友達だろう。
事情を説明すると
「それは困ったね。どうしよ?」
トモがナオに助けを求める。
「ん~、要はお前らが電話出来ればいいんだよな?ならちょっと古典的だけど」
ナオはそう言うと、ある物がないか尋ねてくる。
あぁ、なるほど。
その手があったか。
さすがナオ、頭が柔軟だわ。
「私達待ってるから準備よろしく」
トモはそう言ってナオと話し始めた。
しばらくして戻ってくると、二人とも待ちかねたようにこっちを見上げてきた。
「じゃあ、片方こっちに投げてくれ」
ナオの合図である物を放り投げる。
ナイスキャッチ。
ナオが受け取った物をトモに渡す。
「え~、こちらトモ。聞こえますか?」
えぇ、聞こえてるわよ。
「リナ明日の準備はバッチリ?」
あなた達のおかげで今回も完璧よ。
「それなら良かった。みんなで応援に行くからね」
応援よろしくね。
「それじゃあ、今夜はゆっくり寝て明日に備えてね。おやすみ」
ありがと、おやすみ。
帰っていくナオとトモ。
二人共、本当にありがとね。
使い終わった糸電話は大切にとっておこう。
これで大会前夜のルーティーンも無事にクリア。
翌日、私は見事に優勝を飾った。
みんなの応援のおかげ。
日頃の練習の賜物。
いろいろ理由はあるだろうが、その一つに私独自のルーティーンもきっと含まれているに違いない。
さっ、次は全国大会だ!
〈おわり〉
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