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ワルツが終わると、右京は相手の女性に挨拶をして、月子を探した。
月子は金髪の男に腰を抱かれて、澪子と話していた。右京は歩み寄る。辿り着く前に、澪子が右京に気づいた。
「あら、右京さん」
二人が振り返る。右京が敵愾心から冷たい視線をやると、金髪男はそれを躱すように笑んだ。
右京はいつも通り、まず澪子の機嫌をとる。
「澪子さん、今夜は一段とお美しくていらっしゃる」
澪子は嬉しそうに右京の腕を取り、纏わりつく。
「ありがとう。———右京さん、こちらは風切出帆先生よ。去年アメリカから帰国なさったんですって。先生、こちらは、鷹司右京さん」
右京は手を差し出し、
「Nice to meet you」
と挨拶をした。風切は握手をして、
「Nice to meet you too」
と返す。
「カリフォルニアに友人がおります。友人が、あちらで事業を立ち上げるのは大変だと話していました」
「カリフォルニア州では、排斥運動が盛んになりつつありますからね。ご友人は、さぞご苦労なさっていることでしょう」
右京は月子を一瞥する。普段、人に興味を示さない月子が、なぜか風切をしきりに気にしている。
胸が、ざわついた。
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