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「僕は生まれ変わるなら花がいいな」
意外な回答。
生まれ変わりとか、そもそも興味ないのかと思っていた。
星になるという話のときも、彼の返答で話が切り上げられていたから。
何か心境の変化でもあったのかな。
「なんで?」
体を引きずって彼のすぐ隣まで移動しながら、詳細を尋ねてみる。
彼は真っ白な空を見上げて、心地よさそうに答えた。
「毎年生まれ変わるんだ。それで、毎年君の足元を照らす」
本当に、想定外の言葉ばっかり。
こんなに耳触りの良い言葉、言う人じゃない。
びっくりして声も出なくなった。
彼は夢の中にまどろむように微笑んで、私の知らない一面を見せ続ける。
「それで、君がおばあちゃんになって棺に入るときは、君の隣で輪廻を終えるんだ。それが僕の夢」
「……何それ」
照れ隠しで、言い方が冷たくなってしまった。
照れているのは私だけではないようで、彼も照れくさそうに笑った。
彼も同じ気持ちだと思うと嬉しくなる。
でも、その笑顔の裏に、涙が見えた気がした。
私はもっと彼に近づく。
耳元に、小さな小さな返答が届いた。
「『今どこにいますか』の答え、かな」
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