告白

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告白

そうして彼女とはよく講義で会うようになり、プライベートなどでもよく会うようになった。 そして。 「あ、あのさ」  僕は彼女に告白することに決めた。 「ん?」 僕は深呼吸をする。 「今日……あいてる?」 彼女は笑いながら答えた。 「うん……改まってどうしたの」 僕は顔を赤くしながら答えた。 「あぁ、いや、変な意味とかではないから! その、えと……話したいことがあるから……家に来てほしくて……」 彼女はそれだけ聞くとクスリと笑った。 「……もしかして告白?」 ボソッと意地悪げに僕に囁く彼女。 「へっ!?」 思わず声を出し、立ち上がってしまう。 講義中だった僕らは、周りの視線を集めてしまった。 「そこ、静かにしなさい」 教授は僕らに注意を促す。 「あ、はい……すいません」 僕はゆっくりと席に座った。 隣でイタズラげに笑う彼女。 「……図星だったんだ?」 僕は恥ずかしくて目をそらした。 「……答え、講義終わってからでいい?」 彼女にそう言われ、僕は口をぽかんと開けた。 「えっ」 彼女はニコッと笑ったあと、スイッチを切り替えるかのように真面目に戻った。 僕は内容を何一つとして頭に入れられないまま、ぼーっと講義を聞いていた。 「ねぇ、答えって……」  彼女に言われた言葉を忘れられず、僕は本人に聞いてしまう。 「ふふっ、そんな急かさないでよ 答えは逃げるものじゃないでしょ?」 子供のように笑う彼女に僕は言う。 「じゃあ、僕をからかってるのかよ……」 彼女はそれを聞いて、笑った。 「なわけないでしょ?」 そして彼女は続ける。 「すきだよ、私も」 時が止まった気がした。
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