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第1話 モブ村のキアとリオン ☆
俺の幼馴染のキアは俺の村でただ一人だけ、黒い髪と、オニキスみたいな綺麗な黒い目を持つ。
父さんが山に入ったとき、木の下で眠る赤ん坊のキアを見つけたんだって。
親に棄てられたんだろうって父さんは言ってた。
ちょうど同じ年に生まれた俺とキアは一緒に育てられた。同じものを食べて、同じ景色を見て、同じ遊びをして、優しい母さんと頼りになる父さんに見守られながら、笑って、喧嘩して、また仲直りして、成長して行った。
・・・若干、あいつの方が育ち具合がいい気がしないでもないが。
なんで同じもん食ってんのに、あいつの方が俺より頭一つ分でかいんだよ?
まあ、いい。俺はまだ成長期だ。これからいくらでも挽回できるし。
そしてとうとう明日、俺もあいつも18才になる。一人前の大人、と認められる年に。
そんな大人な俺は今。
「はっ、はあ、はあ、ううっ・・・あっ、きもちい・・・」
自室で、えー……ごにょごにょ……していた。
・・・だってしょーがねーじゃん!若いんだよ、滾るんだよ!この村に同じ年頃の女の子、どころかそもそも村人数十人だし、こういう事出来る相手なんかいないっつーの。こうやって自分でするしかねーじゃん。
でも最近じゃ、こうやって自分でするのにも支障が出てきてるんだよね。とんでもない邪魔が入るんだ・・・だから俺はなるべく早くイこうとして、手の動きを早くした。
「くぅ、・・・!」
急激に射精感が高まって来て、それを握る手に力が入った。根元がピクピクして来て、今にも出そう。
「あっ、もう、出る・・・!」
快感に身を委ねていたところに、バアン!とドアが開いて、俺はびくっとドアを振り向いた。
「―――キ、キアっ!なんで開けてんだよ!?俺カギ閉めたよね?」
「カギはアンロックで開けたよ?」
ずかずかと部屋に入って来たキアは事も無げにそう言うと、必死で股間を隠そうとする俺の手をぐい、と引っ張ってソコを露にしようとする。
わー、目ぇギラギラしててやばいぞ、こいつ。
「わっ、やめろ、ばかああああ!なんでいつも邪魔するんだよ!?」
これだよ。
そう、最近俺がオナニーしようとすると、キアがやってきては邪魔をする。
しかも単なる邪魔じゃない。
「リオン。性欲が溜まったんなら僕がしてあげるっていつも言ってるじゃないか。だから一人でしないでよ。ほら、今日は口でしてあげる」
「だああああ!!ダメ!幼馴染の、しかも男にそんなことさせる変態、どこにいんだよ!?しかもなに、その知識!?どこでそんなこと覚えたの!?」
「リオンがベッドの下に隠してる本?」
「なんで知ってんの!?いいから出てって!見ないでー!」
「もう、リオンは恥ずかしがりやだなあ。まあそういう所も可愛いんだけどさ。僕たちはいずれ結婚する身なんだから、遠慮せず僕に任せてくれればいいんだよ」
「ば、男同士は結婚できないだろっ、あっ!!」
くっ、なんでこいつ、こんなに力強いんだよ。俺の必死の抵抗も虚しく、俺の両手はキアの片手で簡単に押さえられてしまう。
「ふふ、可愛いなあ」
キアは飢えた野生の獣のような目で俺のソコを見つめると、ぱくっと咥えてしまった。
「ぎゃーーーー!!」
「ん・・・騒いでも無駄だよ。この部屋にはサイレンス掛けてあるから、父さん達には聴こえないよ」
必死で身を捩るが、そのままじゅぷじゅぷと激しく吸われる。
あ・・・やば。めちゃくちゃ気持ちい・・・
あっ、ん、と思わず声が漏れたら、キアはたまらない、という顔で俺を見て、ますます動きを早くする。
さっきあと一歩の所まで来ていた俺は、「ふあっ」という間抜けな声と共に、あっけなくキアの口の中に放出してしまった。
う、嘘だろ、キアの口の中に出しちゃった。
思わず放心して、無駄に色っぽいキアの顔をぼうっと見ていると、キアは喉をごくりと動かして俺の出したものを飲みこんで妖艶に笑った。
「ん・・・リオンの魔力の味がして美味い・・・ほんと可愛いなあ、リオンは。愛してるよ」
そう言って、俺の唇に深く口付けて、当たり前のように舌を絡めて来る。
「んっ、んん」
やだ気持ちい。なんでこいつ、こんなに巧いの?
・・・いや、気持ちい。じゃねーよ!!
幼馴染、しかも男とこんな事してちゃ駄目だっつーの!!
「ちょ、もうやめろって!お前、もうこんな事すんなよ!こういうのは女の子とするもんだろ!?」
俺は決死の思いで覆い被さるキアを押し返して、ずり下げていたパンツとズボンを引き上げた。
キアは呆れたようにため息をつく。
「はあ、またそれ?全く、リオンはいつからそんな固定観念ガチガチな子になっちゃったんだ。昔はちゃんと、僕と結婚するって誓ってくれてたのに」
俺は反論する。
「あんなの、俺が世界の常識を知らなかったからだろ!もうとにかく、お前と結婚は出来ねーし、俺はちゃんと女の子と結婚するんだからな!明日17になったらここ出てくし!」
「へえ?まだそんな戯言言ってるんだ?ここを出てくって?じゃあ僕も一緒に行くよ。当然だよね?だって僕ら許嫁だもんね」
キアはすっと細めた黒い目で俺を見据えながら、口の端を釣り上げて笑った。
こいつ、こういう顔が妙に似合うんだよな。言ってる事には同意できないけどな。
信じられない事に、父さんも母さんもキアが俺と結婚する、っていう戯言を全面支持していて、3人で結託して俺とキアを結婚させようとしてくる。
冗談じゃない。キアはそりゃ幼馴染として、家族として大事なやつだ。けど、結婚は女とするもんだろ?そう言っても父さんも母さんも、
「リオン、どこでそんな変な固定観念身に付けちまったんだ?別に男同士でも結婚できるんだぞ?」「やっぱり街の本を読ませ過ぎたのが良くなかったのかしらねえ」なんて言って、全然俺の訴えを聞いちゃくれねー。
このままこの村にいたら、間違いなく外堀を埋められてキアと結婚させられる。
というか、もう俺の貞操がそろそろ本格的にやばい。
こいつが俺を見る目がもう、肉食獣のそれだし。
なんか常にキアの視線で俺、裸に剥かれて舐めまわされてる気分だし。しかも最近じゃ、キアが夜、俺のベッドに潜り込んで来ない日がないし。
ぐーぐー気持ち良く寝てたら、後ろから俺よりでかい男に抱き締められて、「リオンと一つになりたい」って尻に、俺よりデカそうな熱いナニを摺り付けられてる俺の身になってみて!?
キアは俺の泣き顔に弱いから、そこを突いて毎回何とか泣き落として出て行って貰っているけど、もー、ムリ!
さっきだって、つい流されてキアの口に発射なんてしちゃったし、このままじゃ時を置かずして、俺の尻の処女がキアに散らされてしまう。
俺はぶるぶると身震いすると、キッと強い目を向けた。
「ふんっ、嫌だね!俺は一人で行くんだ。キアはここで待ってろよ。お前はここが好きなんだろ、俺はもっと広い世界を見てみたいんだからな」
「なに言ってるんだよ。僕は別にここに拘ってない。愛するリオンが居るところが僕にとっての天国なんだよ」
そう言って微笑むキア。
うわあ。何その極上の笑み。ついうっかり、俺の顔までへにゃっとなってしまいそうだ。
いやいや、なに流されてんだ、俺は村を出て、どこかで自分の運命の相手を見つける。その旅は絶対キアとは――――いや、でも待てよ・・・
ふと俺は考える。
きっとキアはこの狭い村しか知らないから、視野が狭いんだ。だから俺のことを愛してるとか、結婚するとか言うんじゃね?
外の広い世界に出て、もっと色んな人間を見たら、俺に対して勘違いしている気持ちがなくなって、本当に好きで一生一緒にいたいって思えるやつを見つけられるかもしれない。
よく考えると、俺一人世界で見聞を広めて、キアをずっとこの村に閉じ込めておくなんて酷いよな。
「・・・よし、分かった。許嫁とかなんとかってところは同意出来ないけど、一緒に旅に出るのはいいぜ」
俺はそう言うと、さっき思ったことをキアに言った。外に出りゃ、俺の事なんてどうでも良くなって、きっと本当に好きなやつが出来る。だから世界を見て回るのはいいと思う、って。
「全く。僕は他の誰も好きになんてならない、リオンだけを愛し続けるんだってずっと言ってるのに。はあ」
キアは呆れた顔で俺を見ていたけど、
「まあでも一緒に行けるならそれでいいや。外に出て自分が間違ってるって知るのはリオンの方だからね」
最後には嬉しそうに笑った。
・・・ふん。今はまだそう思ってるだろうけど、広い世界と色んな人を知ったら、絶対俺の事が好きだとか、思わなくなるからな!
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