7話

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「わあ……」 「おお……」 指定されていた席を見て、私達は同時に声を出した。 「カップルシートってこんな感じなのか」 感心したような言葉に思わず頷く。 2人掛けのソファーは、足を伸ばせるようにオットマンが付いていて、シートが1人ずつ別々にリクライニング出来るようになっている。隣の席との間には顔が見えないように仕切りがきちんとあって、半個室みたいな空間だ。 「三浦さんはカップルシートで映画見たことあるの?」 「1回だけ。こんな仕切りとかは無かったから、単純に2人掛けソファーが並んでるだけだったけど」 「ふーん……」 「そっちはあるの?」 「俺は無いよ。彼女がいたのもいつだったかなって感じだし」 「……初めてのカップルシートなのに、本当に私で良かったの?」 「良くなかったら誘ってないって。そんなことより、座ろう」 促されて席に着くと、想像以上に距離が近い。 「これは……カップルならイチャイチャし放題だな」 「そう、だね……」 あまりの近距離に、心臓がドキドキしてうるさい。 「キスしたい……」 「えっ!?」 「仕切りもあるし薄暗いからさ。キスしたいって思う人多そうだなって」 「あ、ああ……そうかもね!」 ビックリした……そういうことか…… 「何焦ってんの?」 「別に焦ってないから……!」 顔を見たら唇を意識してしまいそうで、可笑しそうに笑い続ける彼の方を向けない。 「もしかして……したくなった? キス」 「え……?何、冗談言って……」 ふいに止まった笑い声の代わりに聞こえてきた言葉。驚いて新海君を見ると、存外真剣な表情に出会って体も頭の中も静止する。 「……」 「新海君……?」 何も言ってくれない彼に動揺を隠せないまま、時間が止まった様に私達はしばらく見つめ合っていた。
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