2話

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「ご馳走様」 「……どうした?何か顔が暗いけど」 「別に……どうもしてない」 「ふーん……あ、そうだ。三浦さん、連絡先教えてよ」 「え?……何でよ」 「うちの店、たまにお得なサービスやったりするからさ。事前に連絡してあげようと思って」 なんだ、お店の宣伝って事か。 「……そういうことなら、別にいいけど」 お互いにスマホを出して連絡先を交換する。こういう形で男子と連絡先を交換したのは初めてかもしれない。 「――よし、出来た。外雨降ってるみたいだし、気を付けて帰って……っていうか、傘持ってんの?」 「え、雨降ってるの?」 傘なんて持ってるわけない。雨が降るなんて天気予報で言ってなかったのに。 「その様子だと持ってないんだ。貸そうか?」 「いい。そんなに降ってないみたいだし、近くのコンビニで買えばいいから。そっちだって、帰りに傘無いと困るでしょ」 「濡れて風邪引くなよー」 「お気遣いどうも。じゃあね」 とことん可愛くない態度だなあ……なんて店を出てから思ったけど、何となくあの人の前では他の男の時みたいに出来ない。 「まあ、そもそもバレてるしね……今更か。ていうか、あいつに媚びを売る必要なんてないじゃん。何考えてんの私」 自分がおかしなことを考えている気がして気が動転していたのか、傘を買うのも忘れて雨の中家まで帰った。
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