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「ご馳走様」
「……どうした?何か顔が暗いけど」
「別に……どうもしてない」
「ふーん……あ、そうだ。三浦さん、連絡先教えてよ」
「え?……何でよ」
「うちの店、たまにお得なサービスやったりするからさ。事前に連絡してあげようと思って」
なんだ、お店の宣伝って事か。
「……そういうことなら、別にいいけど」
お互いにスマホを出して連絡先を交換する。こういう形で男子と連絡先を交換したのは初めてかもしれない。
「――よし、出来た。外雨降ってるみたいだし、気を付けて帰って……っていうか、傘持ってんの?」
「え、雨降ってるの?」
傘なんて持ってるわけない。雨が降るなんて天気予報で言ってなかったのに。
「その様子だと持ってないんだ。貸そうか?」
「いい。そんなに降ってないみたいだし、近くのコンビニで買えばいいから。そっちだって、帰りに傘無いと困るでしょ」
「濡れて風邪引くなよー」
「お気遣いどうも。じゃあね」
とことん可愛くない態度だなあ……なんて店を出てから思ったけど、何となくあの人の前では他の男の時みたいに出来ない。
「まあ、そもそもバレてるしね……今更か。ていうか、あいつに媚びを売る必要なんてないじゃん。何考えてんの私」
自分がおかしなことを考えている気がして気が動転していたのか、傘を買うのも忘れて雨の中家まで帰った。
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