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「マリー姉さん!」  私は姉さんに飛び付きます。水飛沫が顔にかかって、「やだ、もう」とは言いながらも、マリー姉さんは優しく私を抱きしめました。 「もう、シェリーはマリーが好きね。私だっているのよ?」  そう言って隣で頬を膨らませるのは、エリス姉さん。 「ごめんなさい、エリス姉さん。今日はどうなさったの?」 「やだ、とぼけちゃって。明日はあなたが王国に来る日だから、様子を見に来たんじゃないの」  そう。私は明日、18歳になります。憧れの、海底王国へ行くことができるのです。  未成熟な体では、深海の環境に耐えられないので、18歳まで待つことになっていました。 「心の準備はできてる? 大丈夫?」  マリー姉さんが、優しく私の頭を撫でながら尋ねます。 「大丈夫です! むしろ、とっても楽しみですわ。どれだけ素敵なところなんでしょう」  私はうっとりと目を閉じて、海底王国へ想いを馳せました。  海底王国。  それは、『お母様』が作り上げた王国。  そこでは皆貝殻のドレスに身を包み、珊瑚のお城で過ごしているそうです。 「みんなとっても優しいのよ」 「魔女のお母様も優しくて、強くて、海底王国ほど安全で素敵な暮らしが送れるところはないわ!」  姉さんたちは、いつもそう語ります。
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