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「私も早く行きたい! 早く明日にならないかしら」 「もう少しの辛抱よ、シェリー。また迎えに来るからね」  明日の朝、夜明けとともに姉さんたちと王国へと向かいます。  今は前日の朝ですから、もう1日夜を越さなければなりません。 「いい? 決して街に行っちゃダメよ。最後だからと言って、掟を破ることがあってはいけないからね」  エリス姉さんが怖い顔で忠告します。 「わかっております。あとは、人間には近づかない、話さない、ですよね?」 「そうよ。特に、人間の男は絶対に近づいてはならないからね!」  私は首を傾げました。 「どうしてそんなにも、男性を嫌うのですか?」  まあっと姉さん2人は顔を見合わせます。 「話していなかったかしら?」 「男はね、汚らわしくて軽率で、すぐに裏切るのよ」  美しい顔を歪めながら、姉さんたちは話します。 「お母様はね、昔それで酷い目に遭ったの。だから、決して男は生み出さないし、男とも関わっちゃいけないのよ」  ふうん、と私は頷きます。 「人間はすぐに裏切ります。何があっても、決して信じてはなりませんよ」  マリー姉さんが、私の肩に手を当てて言い聞かせます。安心させるように、私は微笑みました。 「大丈夫です。人間には近付きませんわ」  ほっと息を吐いて、マリー姉さんが私から離れました。 「じゃあ、また明日の朝ね。眠れないだろうけれど、ちゃんと寝るのよ」 「掟は守るのよ」 「それから、それから」  次々に私に忠告する姉さんたち。 「わかった、わかりましたってば! ごきげんよう!」  無理矢理にお話を終わらせて手を振ると、心配そうに姉さんたちは帰って行きました。
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