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「きゃあっ!?」  振り向いた私は悲鳴を上げました。  そこには、あれほど関わってはならないと言われていた人間――しかも、男の人間が立っていたのです。 「ごめん、驚かせちゃったよね。僕は――」 「いやぁっ!」  彼が何か言っています。しかし、私は小瓶を放り投げ、彼に背中を向けて海へと駆け出しました。 「待ってよ! 何もしないから! そんなに怖がらないで!」  慌てた様子で、男性が追いかけてきます。 「いやっ、話してはいけないの!」 「待ってったら」  海の中に入れば、追いかけてこないだろうと思ったのに、私の考えは甘かったようです。  腰のあたりまで海水に浸かった彼は、私の腕をがっしりと掴みました。 「やだっ!」  振り解こうとしても、とても強い力で握られていて、びくともしません。 「やめて、離して!」 「落ち着いて、僕は何もしないから」  そう言って、そっと掴んでいた手を離しました。
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