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まるで愛しい者へのそれかのように頬に触れながら繰り返された口付けが心地良く、舌が口内に入ってきても受け入れてしまう。
名前も姿も分からない男に好き放題やられてしまっているのに、脳がもっとキスをしてほしいと思ってしまっている。
上を向かされ口内に唾液が流し込まれ、口が離されれば俺はそれを飲み込んでゆく。上手に出来ましたと言わんばかりに撫でられ、俺は恐怖していたはずなのにその手に擦り寄ってしまう。
「飯にしようか」
そう言って体を拭かれ、リードが引っ張られなんとかついて歩く。しばらく歩けば下にリードが引かれたので座り、頭が撫でられる。しばらく待っていれば良い匂いがしてきた…
肉の焼ける匂いによだれが出そうになるが、ゴクリと飲み込む。それがもらえるとは限らないので、そのまま待てばしばらくして目の前から良い匂いがした。何も見えないが、肉があるのはわかるが手が使えない…
「ほらどうした?食えよ」
「あ…の…手が…」
「必要無いだろ?ほら食えよ」
あぁそう言う事か。俺はそのまま匂いを頼りに食べ始めれば皿が離れるので追ってゆき、床に置かれたそれを食べてゆく。鼻が汚れてしまうが、気にしていたら食べられない。
しばらくして髪を掴まれて上を向かされ、ペットボトルの水が流し込まれるので飲んでゆく。ペットボトルが離され、髪も離されたので再び食べ始めた。
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