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俺は九人兄弟の末っ子に産まれた。俺が産まれてすぐ母さんが死んでしまったらしく、母さんの記憶なんて無いけど父さんは母さんは良い人だったといつも話してくれた。
Ωだった母さんはΩにしては珍しく力強く逞しかったと聞いた。まだ幼かった俺は母さんが居なくて寂しくて泣いた夜もあったが、その時は決まって攻兄と護兄が手を握って寝てくれた。
αと呼ばれる生まれついてのエリートで、肉体も完璧な人が多く数が少ない性。女性でも男を孕ませることが出来る、特別な性でもある。βと呼ばれる特筆すべき事も無い、平凡で大多数を占める性。Ωと呼ばれる虚弱が多く、短命といわれ男でも孕む事が出来る極稀な性。
男女の他にその三つの性があり、中学の時兄弟の中で唯一俺だけがΩだと知った時は正直絶望したが兄さん達が慰めてくれたし母さんと一緒だななんて言われて少し嬉しくなったのを覚えている。
二十歳になった今日この日は兄さん達が二十歳を祝って飲みに連れて行ってくれるというので、俺は配送業のバイトを早々と切り上げて居酒屋への道を歩いていた。
俺は島で産まれて島で死んでいくんだろうなと海の方を向いた。島の人全体が家族のような温かい島で、俺はこの島が大好きだ。兄さん達もこの島が好きなようで、この島でできる仕事を探して就職をしたみたいだしな。
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